地域に活力を!元気を!を目的として、全国の地域広告会社が集まる協会です。

第1回「JLAA 地方創生アワード」

最優秀賞
群馬県高崎市
「高崎ものづくり海外フェア事業」
現地イベント(「商談会」「メディアカンファレンス」など)の開催にとどまらず、イベント開催までの現地における「高崎(日本)=ものづくりの街」としての空気醸成と商談機会の創出
■講評
高崎市は、市内の企業の国際化を、海外の企業とのマッチングを実践していくことで推進してきていますが、通常、海外の展示会などにブース出展することが多い中、平成 27 年度はチェコ、ポーランド、平成 28 年度はシンガポールの各国で、市単独で商談会を企画し、現地企業に事前交渉を行い、非常に有意義なビジネスミーティングを行っている点が、非常に珍しく、優秀な取り組みだと思います。
また、各国で、現地の PR 会社を上手く活用して、現地での「Takasaki City」の記事露出をはかり、話題醸成も同時に行っている点、また、商談会終了後も、参加企業の国際取引のサポートを行い、海外への販売まで実現している点は、「単なる展示会出展」に終りがちな海外販路開拓事業に一石を投じる、新たな取り組みであると思われ、多くの地方自治体の見本になる事業であると期待されます。
■審査委員コメントからの一部抜粋
  • 地方行政による海外プロモーションは「展示会」「見本市」などのブース出展レベルにとどまり、その後の発展や具体的なビジネス展開は生まれにくいが、現地での PR 会社との連携や話題づくり、バイヤーとの商談も成果が期待できる素晴らしい海外プロモーション事業展開となっています。
  • 地方都市が単独で行った貴重な事例という点で、今後、全国でも参考にされると思います。

三重県桑名市
「桑名ブランド 首都圏パブリックリレーション」
「桑名ブランド」(本物力こそ桑名力)をキーワードとして、首都圏メディアから全国へ効果的に情報発信をすること
向かって左から伊藤 徳宇・桑名市長
後藤 一俊・JLAA 理事長
■講評
桑名市は、首都圏にメディアへの情報発信拠点を設け、定期的な会議を行ってメディアが関心を持つニュース素材を開発し、ニュースリリースを毎月発信しており、非常に積極的な情報発信活動を実践してきていることがわかります。また、東京での「記者説明会」やユネスコの文化遺産に登録された石取祭の「プレスツアー」なども、非常に丁寧に企画されていて、多くの記事になっているようで、市のイメージ向上というテーマに果敢に取り組んできている様子がうかがえます。
また、観光や物産関係の広報活動はそれぞれのセクションの業務となっている自治体が多い中、桑名市は、広報課に相当するブランド推進課が各課と調整しながら、メディア対応を一元的に行っている点も、評価できます。
この事業を報道量の広告換算値だけで評価することは適切ではありませんが、平成27年度が174,322,086円相当、平成28年(今年度)が平成29年1月31日現在で 158,886,415円相当と、年間事業予算額に対して 20倍以上の結果になっていることも、事業の評価軸をきちんと設計されているという点で優秀といえます。
■審査委員コメントからの一部抜粋
  • 事業実施内容、実施効果がみえやすいので、評価しやすい。
  • プレスツアーやセミナーを実施しパブリシティを最大限活用することで広告効果を高めようとする姿勢がうかがえます。
  • PR 手法を取り入れた地域プロモーションの見本であり、地方の広告会社の取り組むべき PR 事業の手本となっています。
  • 年間予算額に対しての報道露出量 21.2 倍強と、費用対効果の最大限の成果が生まれています。

京都府舞鶴市
「舞鶴市首都圏PR活動事業」
舞鶴市の首都圏での認知度向上と観光誘客および引揚の史実の継承
向かって左から
岡野 昌和・舞鶴市東京事務所所長
後藤 一俊・JLAA 理事長
■講評
舞鶴市は、舞鶴引揚記念館収蔵の「シベリア抑留」および引揚関連資料の「ユネスコの世界記憶遺産(現:世界の記憶)」への登録を目標に、市が一丸となって、PR 活動を実践してきていることが、首都圏でのさまざまなイベント、シベリア抑留および引揚をテーマにした音楽劇「君よ生きて」とのコラボ、加えて、メディア向けの首都圏広報事務局の設置などから、良く理解できます。
平成 27 年には、「君よ生きて」の舞鶴公演に加え、10 月には世界記憶遺産に正式登録を果たすなど、首都圏PR活動によるパブリシティの質・量ともに安定的に獲得してきている点が素晴らしいといえるでしょう。
平成 28 年度は、舞鶴引揚記念館の学芸員にフォーカスした大きな記事が日本各地の地方紙で取り上げられるなど、戦後 70年を経た今の日本にシベリア抑留と引揚の歴史を、正確に伝えていこうとする市の姿勢がうかがえます。
また、横須賀市、佐世保市、呉市と連携した日本遺産登録も実現させるなど、積極的に新しい事業を展開し、全国的な知名度を上げていこうとする活動は非常に模範的といえると思います。
■審査委員コメントからの一部抜粋
  • 多様なプロモーション方法で実施されており、事業効果も見えやすい事業です。
  • 地方、地域にある資産を掘り起し、新しい目を向けさせることで、地方創生につながる事例として素晴らしい。
  • 「ユネスコ世界記憶遺産」や「日本遺産」への登録という大きなトピックスを最大限活用し、積極的なメディアリレーションズによって首都圏のみならず広く全国に発信できています。

岡山県
「平成27年度おかやまe農産物ポイントキャンペーン事業」
幅広い年齢層の消費者におかやまe農産物を周知するとともに、取扱店のPRを行うことにより購買を促進し、消費喚起を図る
吉本 誠一郎・
岡山県農林水産部農産課課長
■講評
「特定の産品を有名にしたい、普及させたい」というプロモーションは非常に多く実施されていますが、「おかやま e 農産物」は化学肥料・農薬を低減し、環境にやさしい農業を実践している、認定済みの岡山県内で生産された農産物であり、非常に社会性の高い商材です。故に、消費喚起だけでなく、関係者全員の意識を高めていくこと自体が、長期的に見た時、地球にやさしい農業の実現につながっていくものと思います。
当事業では、メディア戦略などの広告活動も行っていますが、実際の業務では、生産者と販売会社の調整に奔走されている様子がうかがえます。報告書では、17,537,175 円がキャンペーンによる純増消費額として明記していますが、購買意欲の喚起と消費の拡大以外に、すべての関係者を巻き込んだ事業の推進により、岡山県民の意識のベクトルを変えたことの方が、むしろ、将来にわたった地方自治体のプロモーション活動としては、評価に値すると思われます。
■審査委員コメントからの一部抜粋
  • キャンペーンの実施結果が明確で、各種データ分析も行われており、継続的な事業展開が期待されます。
  • シールのキャラクターなどかわいらしく、楽しい感じがするので、女性をはじめ幅広い世代に愛されるトーンと見受けられます。
  • キャンペーンの認知経路で店頭が圧倒的に多かったという点が、商品特性とターゲットの関係性を示しており、参考になります。

岡山県岡山市
「ヘルスケア産業創出・育成事業」
充実した医療・介護環境などの地域資源を生かし、新たな創業・商品開発を促進するため、産官学金労言による幅広い交流・連携などによるヘルスケア産業の創出・育成に取り組む
向かって左から
戸田 康宏・岡山市経済局産業政策課産業政策係係長
堤 修治・岡山市経済局産業担当局長
竹本 泉造・岡山市経済局審議監
(産業企画調整担当・産業政策課長事務取扱)
大塚 恒治・岡山市経済局産業政策課産業政策係主任
■講評
日本全体の潮流としての莫大なヘルスケア産業(市場)をデータ的に理解した上で、岡山市内の企業がその需要を取り込めるか!という壮大なプロジェクトの初動を、シーズの調査、確認から、需要喚起、世論形成、そして、具体的な検討する場となるプラットフォームとしての岡山ヘルスケア産業連携協議会の設立まで、丁寧に業務を設計し、進行してきている事業として、非常に優秀です。当該分野だけでなく、地方におけるさまざまな産業の創出活動の模範的な事業といえます。
■審査委員コメントからの一部抜粋
  • 緻密な計画、運営が評価高く、説得力があります。
  • 岡山版ヘルスケア新産業創出として、地域の企業との連携を最大限有効活用することを提案し、「セミナー」や「ワーキンググループ活動」への支援など地方創生のテーマとして非常に内容の濃い事業実績であった点が評価できます。
  • 地元企業の強みを生かし「無理なく、確実に運営」というスタンスで提案している点が評価に値します。